羽後交通横荘線/秋田県道48号線 二井山隧道
- 2021/02/22
- 16:22
旧羽後交通横荘線/秋田県道48号線 二井山隧道のレポ動画を上げました。
以下上記動画のブログ版となります。

国土地理院より横手市二井山地区の地図である。
山の中をカーブを描きながら貫いていくトンネル。
これは秋田県道48号線の二井山隧道で、かつては羽後交通横荘線の鉄道隧道として昭和28年まで使用されていた。

続いてグーグルマップの隧道上空写真。
国土地理院地図と様子が違い、どうも隧道区間を避けて通って見える。

更に東側坑口付近を見れば封鎖ゲートのようなものが。
次は実際の現地の様子の写真をご覧いただこう。

やはり直角カーブとなっており、トンネルの存在を無視する青看板。
そしてゲートの先はと言うと・・・

草木に覆われ先の見えない完全廃道。
一見すればここで行き止まりにも見えるこの場所だが、道は続いているのである。
小枝に引っ掛かりつつ、緑の壁を突き破っていくとお目当ての物が。

二井山隧道である。
隧道の方から水が流れてきて路盤後は湿地帯に。
これでも一応現役県道である。
秋田県は復旧させる気はなさそうだが。

荒れ果て右側法面は崩れ土砂が押し寄せている。

現役県道ながら数十年放置され続ける二井山隧道。
そもそも戦前の旧式機関車に引かれる列車に合わせ勾配を緩やかにした大回りのルートとなっており、現在は鉄道ルートそのままの県道をショートカット出来る車道があるのでほぼ不必要な感じになってしまっているのだ。

隧道内部。
下部は石積み、上部はコンクリブロックで構成されている。
全体的に状態は悪く、入ってすぐのところで崩落が起きている。

最初の崩落部を超えるとすぐにまた崩れている所が。
190m程度の短い隧道だが、カーブしているとは言え出口の光は見えず。
自分はここで引き返し、迂回して反対側坑口へ向かうことにした。

振り返ると馬蹄型に切り取られた世界。
毎度、隧道より覗いた景色は美しく心取られてしまう。

出口付近、崩れた石材に生えた苔類。
自然の一部となりつつあった。

隧道西側上空。
山を抜けてきた県道が左下から本荘方面へと上がって来る。
そこへ出羽グリーンローから分岐してきた迂回の砂利道が寄り添ってくる。
グーグルマップはこの砂利道を県道扱いにしているが実際の所は怪しい。
そして本来の県道の状態はと言うと、

完 全 崩 壊 である。
ここまで行くと『見事』と言いたくなってしまう。
むしろ美しい。

隧道跡周辺の切通しに水がたまり池と化してしまっている。
しかしそれすらこの場所の美点にすら思えた。
2002年頃の『山さ行かねが』でレポートされ、この時はまだ通り受け可能であったが、その約1年後に訪れた時には崩壊となっている。
崩壊寸前の末期状態隧道レポとして大変貴重なので見ていただきたい。
・崩壊前のレポ http://yamaiga.com/tunnel/tunnel2.html
・崩壊後のレポ http://yamaiga.com/tunnel/niiyama.html

隧道から先、横荘線跡をトレースし鉄路の終点だった由利本荘市老方地区へと向かうr48。
横荘線は最終的に本荘中心地を目指していたが、延長できずに隧道があった二井山ー老方が昭和28年に部分廃線となり、昭和46年には全線廃止となった。
前述のとおり、かなりの部分で横荘線跡を利用するr48でも本荘へは向かう事が出来るが、並走する国道107号線の方が圧倒的に整備され利用する意義が見えない。
廃線後、道路転用されたもの結局放棄され忘れさられつつある隧道、せめて廃れたモノを愛する人間達だけでも会いに来て記憶にとどめてあげたい。